「トッケビ」登場人物たちのファッションを徹底解剖! 雑誌「Marisol(マリソル)」のWEBサイトで“韓流NEWS”をご執筆のライター、桂まりさんがお届けいたします。(全5回)
“神がかり”メンズコレクション
どこを切り取ってもファッション誌の1ページと見紛うほど完璧なキム・シンの衣装。幾百年も生きてきたトッケビだからこそできる贅沢で大人の余裕たっぷりの、まさに“神”モード。フンナム(温かな雰囲気の男)の魅力を倍増させるコーディネートの連続で、何度見ても眼福だ。エルメス、 ジバンシー、ランバン、バーバリー、フェンディ、プラダなどハイブランドも“知的に”彼らしく着こなし、ドラマ着用服が完売するという現象も。
カナダロケでのスーツ、長身が映える数々のロングコート、遊び心と温かみのあるニットの部屋着。「目の前にいるじゃないか、彼氏!」と彼が思わず900年ぶりの失言をしてしまうシーンの黄色いベストも、ともすると子供っぽくなってしまうのに、このハイブランドの一枚を完璧に着こなしている。不老ではあるが、ピュアな温かさ、おどけたところもある大人のキム・シンによく似合っていた。
キッチンでコーヒーを飲むシーンでのシンプルなニット&パンツスタイルは、彼の出演するコーヒーのCM映像のように絵になると話題にもなったほど。
死神イ・ドンウクと共に、ウンタクを助けに向かう夜道のシーンでの、ランウェイですか? と拍手したくなる落ち着いた大人のオールブラックロングコートも印象的だ。このシーン、イ・ドンウクが息が白くなるのを避けるため、二人で呼吸を合わせて息を止めて走ったとコメントしていたが、これ以上クールなロングコートデュオは望めないほどその気温よりクールなふたりだった。
おしゃれステップアップ!
控えめでナイーブな高校生から堅実な社会人に、そして息を飲む可憐で美しい花嫁。華麗にステップアップしながら、清楚な美しさを際立たせていたウンタクのスタイリング。序盤は母の形見の赤いマフラーがポイントの、グレー、グリーン、えんじのフーディーや制服が初々しいスクールガールスタイル。
制服姿が、素直で一生懸命な苦学生ウンタクの性格に寄り添って好感度が増す。クラシックで美しいカナダの風景にも馴染んでいた。
そして、成長したウンタクは、落ち着いたファッションで大人の女性に変身。
圧巻だったのはウンタクのために存在するかのように似合っていた、ジェニー・パッカムのウェディングドレス。ヴィンテージドレスを彷彿とさせるディテールの繊細なレースと、ストンとしたシルエットはため息ものだった。蕎麦の白い花の素朴なブーケも夢のように、文字どおりコーディネートに花を添えていて、強く記憶に残る特別な衣装だ。
イギリスのデザイナー、ジェニー・パッカムのドレスは、チョン・ジヒョンが結婚式に選んだことで話題となり、最近ではBIGBANGのSOLと結婚したミン・ヒョリンも着用したのも記憶に新しい。
モノトーン至上主義
イ・ドンウク演じる死神もまた、長身を活かした極上の大人メンズウェアの着こなしだが、キム・シンのそれとは趣が異なる。キム・シンがトラディショナルな印象に対し、死神は現代的。
死神の衣装について「シャツに金のブローチとチェーン、靴も金属の装飾が施されていたので、全体的に冷たいイメージを表現できた」とイ・ドンウク本人が語っているように、死神としての“仕事モード”のときはモノトーンの色味で冷たいイメージを醸しつつ、プライベートでは細身な体形を遊び心あるオーバーサイズなニットが包みこむことで、彼が持つナイーブな面を際立たせている。
また、シンプルで清潔感のある部屋からは几帳面な彼の性格を感じとることができる。脚本家キム・ウンスクは「死神役は、色白で唇の赤い、死神のイメージそのもののイ・ドンウクさんしかいない」と言っていたが、持ち前のルックスに加え個性的な衣装を着こなしたことで、さらにイ・ドンウクならではの魅力的な死神となっていた。
女子力満載コーデ
レディライク、たっぷりのフリル、キラキラ、ふわモコ、ピンク、フロントインのストライプシャツと、ファッショントレンドてんこ盛りの衣装で、大人の可愛らしさをアピールしていたサニー。自信家で隙がないけど情に厚いファッショニスタ、サニーのおしゃれコーディネートは余すところなく、彼女のチャームを底上げしている。
デキる女なのかと思えば、予期せず天然ぶりを発揮してみたり、どこか憂いもあって憎めない。死神との印象的な出会いのシーンでは、自信にあふれ完璧なデキる女のレディライク・スタイル。客の来ないチキン店でスナックをつまんでいるシーンでも、おしゃれは手抜きなし。
デートルックももちろん全力のサニースタイル、ファッションにもヘアメイクにも芯の通った意思と愛らしさがあり、独特のアンニュイさも演出していた。
本作で最も検索されたファッションアイテムは、彼女が着用したバックサイドに大胆な模様が入った韓国のファッションブランド、DEWL(デュエル)のワインカラーロングコート。
こうした個性的な衣装に合わせて、アクセサリーやバッグは控えめにコーディネートしている。また、美容部員の親友の勤務先でもあり、サニーが愛用していたのは日本の有名な化粧品ブランド。先端モードが大好きなサニー効果で韓国でも爆発的にヒットした。
2度見必至のド派手モード
憎めない御曹司キャラのドクファを演じたのは演技ドルとしても頭角を現しているアイドル、ユク・ソンジェ。コン・ユ、イ・ドンウクとともにイケてるメンズファッション三銃士の部屋着対決でも、奇抜でダイナミックなスタイリングを堂々と着こなしている。
そのユニークなモードは彼の軽めでチャーミングな役をより際立たせていた。御曹司なのでワードローブはすこぶる豊富で、大胆なカラー&パターン、同柄の上下といった、着る人を選ぶような攻めコーデもいとわない。若さとトレンド感も加味したプレイフルなファッションセンスの持ち主で細身シルエットを多用。
本屋でウンタクと遭遇するシーンのスーツもしかりだ。細身のスーツは全身チェックでしかも黄色! 衝撃的とも言える難しいルックスを、全く違和感なく自分のワードローブにしている。スーツ、ロングコート、ニット、スウェットなど、モデル体型でスタイリッシュに、フレッシュに着こなし、茶目っ気、若さも加味したコーディネートで個性を際立たせている。